都会で暮らす私たちにとっては、公共交通機関というのは無くてはならないものです。中でも、電車は大量輸送ができ、安価であり、かなりの確率で時間通りに目的地に着くことができ、しかも、早朝から深夜まで運行されているので、非常に便利です。都会では、電車が止まってしまうと、一般市民にとっての通常生活はかなり制限されてしまいますし、自宅に帰ることさえできなくなってしまいます。最近は、大型台風が来た場合のもしもの混乱に備えて、都会では電車はあらかじめ運行を止めてしまうことが多くなりました。
ところで、電車というのはもちろん電気で走ります。その電気はどうやってとるかというと、架線方式が有名です。架線方式とは、車両の上部の空中に架線を張り、ここからパンタグラフなどの集電装置によって集電します。このことは、殆んどの方がご存知ではないでしょうか。線路の上には電線が走っていて、そこから電気を取っている姿は大体の方が想像できると思います。
が、ある日、疑問が生じました。とある地下鉄の線路の上を見てみても、電線が無かったのです。地下だけではなく、その地下鉄が地上に出る場面があったのですが、そこでも電線が空中に見当たりませんでした。で、よくよく見てみると、線路の少し横にもう一つのレールがあります。きっと、そこから電気を取っているんだろうと予想しました。
ネットで調べてみると、これは、第三軌条方式と呼ばれるそうです。架線方式に比べて設置コストが安く、また、トンネル断面が少なくなるというメリットがあります。反面、高速走行に向かない、地上に高電圧がかかるため、人が立ち入る可能性のある所では危険が伴う、などのデメリットがあります。このような理由から、地下鉄で用いることに向いており、高速で走る新幹線や特急、一般の地上を走る踏切が多い線路では不向きとされています。
というわけで、ようやく納得できました。観察力をお持ちの方でしたら、きっと早くから気づかれていて、何を今更?ということかもしれませんが(笑)。私の言い訳としては、なかなか地下鉄で車両の上部付近を細かく観察することも少ないだろうということなんですけれどもね。スマートフォンばっかり見ずに、少しは外を見ろということかもしれません。
ちなみに蛇足ですが、一般の電車で使われている架線方式の電線は、まっすぐ張られていると勝手に思い込んでいましたが、実は違うそうです。電線から電気を取るのが車両側にあるパンタグラフですが、電線がまっすぐ走っていると常にパンタグラフの一か所が擦れることになるため、一か所だけがどんどん摩耗していきます。そこで、電線は実際は蛇行しているとのことです。電線を、真上や真下から見ることは少ないので、これはなかなか気づかないことです。