息子・娘へのアドバイス(19)

前回の記事に続き、これまでの人生経験に基づいて、次の時代もある程度予想しながら、順不同で子供たちへのアドバイスを書いていきます。

〇時には全てを放り出して一つのことに集中しよう
インターネットの普及により、多くの情報が社会を自由に行き来するようになりました。今では、色々なしくみがインターネットで接続され、公共機関や企業や個人が繋がっています。更には、スマートフォンの普及により、情報が個人のプライベート時間の全てにいつでも伝わるようになり、今や、世界中のしくみが個人に繋がるようになりました。
その結果、私たちは常に情報に追い掛け回されるようになりました。SNSによって個人間の連絡が行われ、電子メールによって仕事に関する連絡が行われ、それ以外の色々な情報システムによって社会生活に必要な入出力が行われます。私たちの生活は、寝ても覚めても四六時中の間、情報の入出力に追い掛け回された状態になっています。列車やバスに乗っている時、テレビを見ている時、食事やお茶をしている時など、常にモニターを見ている状態になっている方も多いと思います。
情報化社会の時代ですから、これも止むを得ません。いかに、多くの情報を早く効率的に処理するかが仕事などにとって重要な位置を占めるようになっているのも確かです。早い・効率が、多くの場面でもてはやされている時代です。
ですが、仕事が早い・効率的というのは、作業者として優秀であり重宝されますが、リーダ・改革者・経営者の資質とは異なります。もちろん、有利に働くことは間違いないでしょうけれども、早い・効率というのと、リード・改革・経営というのは全く異なるものです。若いうちに早い・効率的ということで評価されて出世したとしても、その延長線上ではそれ以上の出世はありません。ですから、仕事を始めて数年経てば、リード・改革・経営の力をつけていかねばなりません。
そのためには、深く観察して良く考えることが必要です。例えば、仕事における改革というのは、仕事の目的や方針を正しく理解し、現場で起こっている多くの問題点を洗い出し、それらを解決するための理想の姿を描いて、それに向かって体制やしくみやルールや実行手段を考えて着実に推進するステップを描く必要があります。これには、深く思慮して、多くのことを結び付けて、色々な組み合わせを頭の中でシミュレーションして、改革ストーリーを構築していかねばなりません。そのためには、集中して改革テーマに取り組む必要があります。私の経験上ですと、全てのことを放り出して没頭してそれに取り組まないと出来ないことが多々あります。
ですから、時には多くの情報を避けて、一つのことに集中することが必要です。そうしないと解決できないことが仕事には沢山あります。もちろん、仕事以外にも家庭や地域や色々なコミュニティーでも似たようなことはあるでしょう。じっくり一つのことに集中する時間を時には作りましょう。

次回に続きます。