前回の記事に続き、これまでの人生経験に基づいて、次の時代もある程度予想しながら、順不同で子供たちへのアドバイスを書いていきます。
〇世の中のしくみを知ろう②
前回の項目で、パソコンが普及し、そしてパソコンで年賀状を印刷するためにプリンタが高性能・高価になっていった時代があったことを説明しましたが、その続きです。
パソコンというのは当時も年々性能が上がっていましたから、新製品が出ても価格は下がりませんでした。しかしながら、プリンタは高性能になっているにもかかわらず、ある時から極端に安い価格で手に入れることが出来るようになってきました。世の中のしくみを知りというのは、こういうときがポイントになります。プリンタは高性能になっていくのに、どうして安い価格になっていくのかということです。
この理由は色々とあると思いますが、よく言われているのは次のようなことです。つまり、プリンタを使用するには、通常インクが必要になります。特に、写真を高精細で印刷する場合には、インクもそれに対応した高価なインクである必要があります。パソコンは、一度買えばソフトを買い足すことはあっても、ハードはあまり変わりません。ところが、プリンタはインクが無くなれば買い足す必要があります。つまり、機械を売った後もインクによって収入が見込めるのです。要は、プリンタメーカーのビジネスモデルは、プリンター+インクということになります。
そうなれば、プリンターを安く売ったとしても、そこでプリンタが多く普及すればインクを多く買ってもらうことができます。これにより、プリンタが安くなるという時代がやってきたのです。こういうのが、世の中のしくみです。この例は、単体の利益ではなく、製品群トータルで利益をあげるというのがプリンタビジネスのしくみというわけです。これを頭にいれておくと、おかしな現象が起こることに気づきます。
プリンタのインクは、プリンタを年賀状印刷にしか使わない人は、毎年の年末にインクを買いに行きます。家電量販店に行けば、当然自分が欲しいインクもそうですが、新製品のプリンタも置いています。新製品のプリンタは、12月に入ったころは値段が高いです。というのもそのころに一番売れますからね。そして、クリスマスを越えたころに値段が下がっていき、大みそかには値段が大きく下がります。そして新年には更に値段が下がる傾向にあります。理由は、そのころに年賀状を書く人が少ないからでしょう。そうなると、不思議なことに、旧製品のインクだけの値段より、新製品のプリンタ(もちろん最初はインク付き)の方が値段が安い場合が出てくるのです。これを知っていれば、多少年賀状が届くのが遅くなっても良いのであれば、毎年大みそか頃に家電量販店に行けば新製品のプリンタを旧製品のインクより安く手に入れることができたのです。
このようにプリンタビジネスのしくみを知っていれば、世の中で起こっている不思議なことも理解できる訳です。
次回に続きます。