息子・娘へのアドバイス(2)

前回の記事に続き、これまでの人生経験に基づいて、次の時代もある程度予想しながら、順不同で子供たちへのアドバイスを書いていきます。

〇身についた既成概念を捨てよう①
少し難しい話ですが、とても大切なのでこれからお話します。今の自分には、もちろん今の自分の考えがあります。この考えに基づいて自分らしく行動することは、悔いのない人生を送る上では大切なことです。ところが、人生を歩んでいると、世間と自分が離れて見えたり、自分だけうまくいかなかったり、自分自身が間違っているように思ったり、自分に自信が持てなくなることがあります。こんなとき、自分自身、それはまさに自分の考え方なのですが、疑問を持つかもしれません。今の自分は、本当にこれで良いのだろうかと。また、自分って本当はダメな人間なんだろうかと。
こう悩んだ時に、自分の人生を振り返って見てください。自分自身がどのように形成されていったか、についてです。自分が生まれてすぐは、一般的には親に育てられます。そして、近所の大人や子供たちに接し、学校に入って先生に教えられ、社会人になって同僚たちと生活していきます。これを振り返ると、生まれた時から自分の考えだけで自分を歩んできたのではなく、殆んどが他人の影響を受け、他人に教えられながら自分自身が形成されてきたことがわかります。自分自身が形成される過程にあっては、正しいことを教えられたかもしれませんが、間違ったことを教えられたかもしれません。正しいことをしてもらったかもしれませんが、間違ったことをされたかもしれません。正しい(素晴らしい)環境に育ったかもしれませんが、間違った(良くない)環境に育ったかもしれません。
こう考えると、今の自分の考え方には、親や他人から正しいことも間違ったことも入力されているわけです。また、悪いことでなくても、周りの人の趣味で方向づけられていることもあります。更には、小さい時に見たものや聞いたもので受けた印象によって考え方が変わる場合もあるわけです。つまり、自分自身、あるいは自分の考え方というのは、実は、自分自身や自分の考え方ではなくて、親や他人の考え方、その時に影響を受けた環境などの集合体で形成されているわけです。そうなると、自分自身というのは、実は、多くの人の集合体+環境経験、ということになります。もちろん、持って生まれた資質というのもあるでしょう。しかし、大部分は出会った人と生まれた環境によって決まるというのは、世界の多くの人を見ると、地域ごとの特徴、国ごとの特徴が大きく分かれていることを思えば、理解できます。

次回に続きます。