前回から引き続き、政府が「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」にて平成28年3月30日に決定した観光ビジョンについて、目についた項目、気になった項目についてチェックしています。なお、ピックアップする項目は順不同です。
〇最先端技術を活用した革新的な出入国審査等の実現
世界最高水準の技術活用等により、円滑かつ厳格な出入国審査等を高度な次元で実現し、20分以内の目標を目指すなどとしています。旅行者が増えることに対応してスピードアップするということですが、個人的には、これは訪日観光者のリピータを増やすことにつながると思っています。というのも、海外旅行において、出入国審査が混雑して時間がかかるというのは、疲れている時に精神的肉体的ダメージが大きいですし、予定を狂わせる原因にもなります。空港の居心地というのは、旅行では印象に残るものです。
〇民間のまちづくり活動等による「観光・まち一体再生」の推進
宿泊施設や観光バス乗降場等の不足に対応するため、遊休不動産の活用や規制の改革等により民間のまちづくり活動や都市開発を促進としています。これも金融支援がなされると思いますが、投資対効果が少ないところに無駄な投資がされないように、上手に効率的にとうしされることを期待します。
〇キャッシュレス環境の飛躍的改善
都市・地方銀行を中心に、海外発行カードで現金引出しできないことが多いとのことで、3メガバンク中心に対応を要請します。また、外国人が訪れる主要な商業施設、宿泊施設及び観光スポットにおいて、クレジットカード決済対応と決済端末のIC対応を実現していきます。観光立国になるには、お金を日本国内に落としていったもらわないとなりませんから、このインフラの充実は重要です。個人的には、これ以外にも中国などの海外で普及している主要電子マネーなども対応すれば更に良いと思います。
〇通信環境の飛躍的向上と誰もが一人歩きできる環境の実現
これは、Wi-Fiの充実と多言語音声翻訳システムの社会実装化などを示しています。
〇多言語対応による情報発信
日本企業のウェブサイトの多言語化が遅れており、特に旅行・レジャー、飲食関連産業の多言語化率は1%に満たない状況とのことで、これを支援するとのことです。確かに、海外の旅行者をターゲットにしているのですから、日本語だけでの情報発信では不十分であることは明確です。ただ、具体的な支援内容が気になります。どのような条件でどのようなサポートがされていくのかを注目したいと思います。
〇急患等にも十分対応できる外国人患者受入体制の充実
外国語診療が可能な医療機関を充実させ、更には外国人患者受入れ体制が整備された医療機関を増やすとしています。富裕層では高齢な方も多く、このような体制は評価されるでしょうし、訪日観光のアピールにもなるでしょう。
〇「世界一安全な国、日本」の良好な治安等を体感できる環境整備
警察、110番、119番などで外国語で対応できるようにすることが環境整備のポイントになっています。これからの警察官や救急隊員は、外国語もある程度使える必要があるということで大変になってきそうです。まぁ、観光立国を官民挙げてやっていくということなので、警察官や救急隊員に関わらず、多くの人がそうならざるを得ないわけですが。
次回に続きます。