観光立国を目指す日本をチェック!⑥/11

前回から引き続き、政府が「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」にて平成28年3月30日に決定した観光ビジョンについて、目についた項目、気になった項目についてチェックしています。なお、ピックアップする項目は順不同です。

〇東北の観光復興
東北を訪れる外国人観光客の増加は、他府県と比べてもかなり低くなっています。そんななか、宮城県の気仙沼市は、観光に取り組む人々を結びつけ、モニターツアーの企画やニーズに合わせた観光資源の見直しを実施することにより、宿泊者数が大きく向上しているとのことです。震災の影響はまだまだ色濃く残っていますが、外国人観光客による観光復興も復活の大きなエンジンになる可能性があります。

〇観光関係の規制・制度の総合的な見直し
近隣アジア諸国からの訪日旅行者の増加などに対応するため、量と質を確保した規制の見直しをするとしています。業務独占規制の見直しが必要とされる通訳案内士を見直したり、ランドオペレーター(旅行会社の依頼を受けて、ホテルやレストランや鉄道などの手配・予約を行う会社)の質の低下を防ぐために、登録制や指導・監督が出来る制度の導入などが検討されています。観光関係の規制は、戦後まもなく作られて60年以上大きく変わっていないということで、抜本的な見直しがされるということです。規制でがんじがらめの日本の悪いところが出ている典型的なパターンであり、シンプルでポイントをついた規制にして欲しいものです。

〇民泊サービスへの対応
民泊サービスは、日本ではあまり馴染みが無かった制度であり、いろいろな問題が予想されます。特に、住空間が狭く近隣と密接していることが多い日本、特にマンションなどでは、治安・衛生・トラブルにどのように対応するかなど沢山の問題が起こるでしょう。しかし、一億総活躍と観光立国を目指し多種多様なニーズに対応するためには、是非ともトライしたくなる事案でしょう。都市部や地方ではニーズも大きく変わるでしょうから、コントロールは難しいと思いますが、色々な知恵を出して、日本にあった制度を作って欲しいと思います。

〇産業界ニーズを踏まえた観光経営人材の育成・強化
新しく観光立国を目指すのあれば、それを実現する基幹人材も必要です。トップレベルの観光経営人材を育成するために、大学院・MBAに育成拠点を設けていくとしています。また、大学観光学部の標準カリキュラムの開発を行って中核人材の育成強化もしていく計画になっています。大学や大学院は、産業界とは一線を引いて、長期的視点で学問や研究を行っていくべきという視点もありますが、一方、産業界のニーズがあれば、国にとって必要な人材を育成するのもミッションの一つでしょう。教育機関も少子化などから経営が厳しい時代に入ってきていますが、中長期的な視点だけではなく短期的な視点でも国の要請に応えていくべき時代かもしれません。それだけ、時代の流れは早くなっています。

次回に続きます。