前回から引き続き、政府が「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」にて平成28年3月30日に決定した観光ビジョンについて、目についた項目、気になった項目についてチェックしています。なお、ピックアップする項目は順不同です。
〇滞在型農山漁村の確立・形成
美しい農山漁村等で日本の自然や生活を体感し満喫してもらうため、地域の情報発信や滞在手段の提供、関連施設の整備の支援をしていきます。外国旅行者の訪日目的の第1位は日本食をたべることであり、伝統文化や自然体験、農山漁村体験にも一定のニーズがあるとのことで、流行する可能性も高いとのことです。確かに、ここ最近、ローカル列車のローカル駅で乗降する外国人観光客をよく目にします。色々なところに外国人観光客を呼ぶ成果が表れ始めているのでしょう。
〇地方の商店街等における観光需要の獲得・伝統工芸品等の消費拡大
地方の商店街を活性化させるため、地域が誇る伝統工芸・民芸品等を観光資源化し観光客の消費拡大を図りたいと考えています。日本を訪れる外国人観光客の中には、日本の風情を味わいたい、日本ならでは買い物をしたいという方もいらっしゃるでしょうから、商店街というのは有効でしょう。百貨店やアウトレットには無い魅力があります。一方、日本の商店街は百貨店やアウトレットにおされて、都市部であっても活気が薄れているので、消費対象として外国人観光客に狙うというのは良い考えでしょう。その効果かもしれませんが、京都の錦市場や大阪の黒門市場は、この数年で大きく様変わりしました。以前は漬物や魚を日本人向けに売っている商店街だったのが、外国人観光客が好んで立ち食い立ち飲みしたりお土産を買って行く商店街に大きく変わりました。日本人よりもあきらかに外国人観光客で盛り上がっています。その他の都市の商店街でもそのような傾向がある様で、顧客獲得に悩んでいる商店街にとっては生き残る道のひとつなのかもしれません。
〇広域観光周遊ルートの世界水準への改善
バードウォッチングやホエールウォッチング等の各地域の観光資源を活かしたエコツーリズムをつなぐルートなど、新たな観光需要を創出できる魅力あるテーマ別観光のルートを作ることを進めていきます。つまり、個々の観光ポイントを作っていくのではなく、外国人観光客のそれぞれのニーズに合わせたテーマ別の日本全体の観光周遊ルートを作っていくことです。日本を余すことなく楽しんでもらうとともに、日本としても用意した観光資源を消費してもらうことが可能になります。イギリスでは、専門家チームを地域に派遣して地域の観光マネジメントを実施するなどをしているそうで、色々な観点から観光レベルを向上させているようです。進んでいる国は進んでいるということですね。
次回に続きます。