前回から引き続き、政府が「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」にて平成28年3月30日に決定した観光ビジョンについて、目についた項目、気になった項目についてチェックしています。なお、ピックアップする項目は順不同です。
〇国立公園の「ナショナルパーク」としてのブランド化
国立公園を訳すとナショナルパークになってしまうが、ここで言う2者の違いは、自然保護がメインである日本の国立公園ではなくて、間近で野生生物を観測したり、質の高いガイドツアーがあったりといった、要は保護すべき区域と観光に活用する区域を明確化し、観光客が豊かな自然を体験するための施設やプログラムが提供されている公園ということです。確かに日本の国立公園と言えば、体験したり観測することはあまりできないように思います。
〇景観の優れた観光資産の保全・活用による観光地の魅力向上
全都道府県の半数の市区町村で景観計画を策定し、景観形成を行っていくとなっています。また、その中には無電柱化も含まれています。
電柱は景観形成を損なうばかりではなく、台風などの災害に弱いということもあり、無電柱化は世界で進んでいます。ロンドンやパリといった主要都市は100%、シンガポールやニューヨークでも70%を超えています。一方、東京や大阪は5%前後、日本平均では1%とほとんどが電柱に頼っている状況です。これは、随分前から言われていることなのですが、日本では電線地中化のコストが他国に比べて数倍高いことがあったり規制も多い様で、なかなか進んでいません。これは、官民多くのステークホルダーが絡む難しい案件ですが、個人的には進むことを期待しています。
景観形成は、国・都道府県・市町村だはなく、民間・一般市民の協力も必要です。そのモデルとしてよく例に上がるのが、京都市です。繁華街でも派手な広告がありませんし、例えばコンビニエンスストアやファーストフード店においても、看板や広告が他の都道府県とは異なって大人しいデザインに変えられていることが多く有ります。また、一般の民家やマンションも古くからの景観を損なわないデザインとなっています。このように、官民一体となって初めて実現できることであり、皆の理解を得て進めることが重要です。
あと、外国人向けガイドツアーの開催やWi-Fi環境の整備も計画されています。特に、欧米や東南アジア各国とは異なり、日本ではまだまだ日常で英語を使う場面が少ないので、特に地方などで現状のままでは外国人をそのまま受け入れるというのは難しいかもしれません。ここで、外国人向けガイドツアーがあればしっかりと観光案内ができるでしょうし、Wi-Fi環境があれば外国人自らがネットサーフィンをしながら上手に観光を楽しむことが出来るでしょう。
次回に続きます。