観光立国を目指す日本をチェック!③/11

前回から引き続き、政府が「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」にて平成28年3月30日に決定した観光ビジョンについて、目についた項目、気になった項目についてチェックしています。なお、ピックアップする項目は順不同です。

〇魅力ある公的施設・インフラの大胆な公開・開放
公的施設であるにも関わらず、日本では一般にあまり公開・開放されていないものを観光資源として活用しようとするものです。例えば、フランスのヴェルサイユ宮殿は観光施設として日中見学が可能でしたが、赤坂や京都の迎賓館はこれまで公開されていませんでした。それを2016年より公開するようにしています。確かに、宮殿や迎賓館というのは、年配の方に人気があるものであり、リタイヤして金銭や時間に余裕がある外国人観光客を呼ぶ強い武器になる可能性があります。今後も積極的に幾つかの公的施設を公開・開放する検討がなされているようです。これは、外国人観光客だけではなく、我々日本人にとっても良いことではないでしょうか。いままで見られなかったものが今後は見られるようになる可能性があるということで、観光施設の開放は我々日本人にとってもよくチェックすべきものでしょう。
また、すでに公開されている公的施設・インフラについても、公開日、時間、回数、内容の充実、ツアー会社への窓口一元化、全インフラツアーを紹介するポータルサイトの機能強化などが計画されています。外国から日本を訪れるに際し、確実に見学できるのは重要なことですから、有効でしょう。明石海峡大橋や湯西川ダムの見学などが世界に向けて発信されて有名になるのは、外国人と会話することが多い人にとっても良い会話のネタになることでしょう。

〇文化財の観光資源としての開花
これまでの日本の文化財は、保存を優先としており一般に広く公開するという観点は欠け勝ちでした。解説もされない、分かりにくいなどといったことも多々見受けられました。更には修理遅れなどが目立つものがありました。
これらについては、観光資源として価値を高め、投資リターンも考慮した修理・整備と美装化を進めるとしています。確かに、保存する事だけを考えているのであれば、予算は限られた範囲にしかなりませんが、資源や資産としてリターンが見込めるのであれば、予算も適正なところまで広げることが出来ますし、逆に不用意に投下することもなくなります。もちろん、文化財は観光資源だけで保存されるべきものではありませんが。予算投入する一定の判断基準にはなると思います。また、分かりやすい解説と多言語対応により、観光コンテンツとしての質向上をしていくとしています。これは、我々日本人にとっても良いことです。特に、歴史の解釈は年々変わっていくとされており、小学生や中学生の歴史の教科書の中身は変わっていくというのは有名な話で、学んだことが20年も経てば間違っていたこともあるようです。そういったことから、日本人としても分かりやすい解説で新しい歴史に触れる良い機会になるでしょう。

次回に続きます。