前回に続き、少子化で日本人の年齢構成が変わり、過去のように毎年新入社員が沢山入ってくるという時代にあって、会社の組織長/責任者が、働き手が仕事に求めることを認識・理解して、それと会社が働き手に求めることとをマッチさせて人材を確保するにはどうしていけばよいかを、項目ごとにコメントしていきます。
〇働き手のニーズ:収入が多い/家族を養う
働くことの一番の目的は、殆んどの人が収入を得ることであり、それを持って自分や家族が生活することです。従って、当然の欲求と言えます。収入については、会社のシステムで決まっていますから、通常の組織長/責任者では基本的には大きく変えることはできません。残業や手当が多い部署に配置したり、昇進が早い可能性のある部署に配属したりくらいしかないでしょう。それ以上の要求があっても収入については増やすことができませんから、後は、それ以外の要求に対応するしかないように思います。
〇働き手のニーズ:福利厚生が良い
これも、収入と同じで、会社毎のしくみやルールで決まってしまっているので、通常の組織長/責任者では大きく変えることはできないでしょう。せいぜい、部署内で多少の融通をきかせる程度でしょう。やはり、これ以外の条件での要求でカバーするという対応しかないように思います。
〇働き手の変化:非正規で雇用条件が異なる
この項目からは、働き手が望むこととは異なり、新卒の労働人口が減少していくために、非正規社員などが増えることについて、つまりは働き手の変化について考えます。現時点で非正規社員が多い職場にお勤めの方もいらっしゃると思いますが、そうでない組織長/責任者の方はなかなか戸惑うと思います。また、非正規社員が居なかった職場では受け入れる体制やルールも無いでしょう。どちらの問題にしても、すでに今の日本では、経験されている多くの職場があります。ですから、そういうところを見習ったり、組織長/責任者をそこから連れてきたり、体制やルールを真似て作ったりするようなことが近道かもしれません。
〇働き手の変化:高齢者/障がい者
これまで職場では比率が少なかった高齢者の方や障がい者の方も、今後は比率が上がってくると想定されます。高齢者や障がい者の方は、一般の方に比べて労働にあたっては不利なこともあるかもしれません。しかしながら、高齢者の方だと豊富な経験と人当たりの良さがありますので、職場をうまくバックアップして良い方向にもっていってくれることも期待できます。また、障がい者の方も、障がい者の方しか分からない視点や気づきもありますので、有用なことも多いでしょう。このように不利な点を挙げて悩むのでなく、良い点を見つけて会社に貢献するように活用していく、こういったことが必要ではないかと思います。高齢者や障がい者も、それはただの個性ととらえた方が良いでしょう。
以上、これまで5回にわたって、労働人口減少時代の人材確保を考えて来ました。これまでのように、自分の会社や組織に合った人を採用するのではなく、採用できた人に自分の会社や組織で長く働いてもらうといった考えも必要でしょう。それも仕事としてとらえていきましょう。