労働人口減少時代の人材確保を考える④/5

前回に続き、少子化で日本人の年齢構成が変わり、過去のように毎年新入社員が沢山入ってくるという時代にあって、会社の組織長/責任者が、働き手が仕事に求めることを認識・理解して、それと会社が働き手に求めることとをマッチさせて人材を確保するにはどうしていけばよいかを、項目ごとにコメントしていきます。

〇働き手のニーズ:人の役に立つ/人が満足する
仕事で人の役に立つ、人が満足するというのは、大きく2つに分かれます。1つは、自部署や自分の会社の役に立つこと、そして、もう1つは、他部署や他の会社の役に立つことです。
最初の、自部署や自分の会社の役に立つことですが、不満となる原因の代表的なものとしては、①自部署や会社は役に立っていると思っているが本人は思っていない、②成果を出そうと試行錯誤しているがまだ結果が出ていない、などがあります。①については、得てして、その必要性を上司が部下に説明していないことに問題が起こります。例えば、下支え的な仕事やスタッフ的な仕事は無くてはならないものですが、直接利益を生むことが少ないので、ライン業務の仕事に比べて評価が低くなりがちです。このような場合は、その下支え的な仕事やスタッフ的な仕事の重要性、専門性を説明し、あるいは、どのような利益につながったかなどを試算して提示したりするなどして、会社や人の役に立っていることを示すことが重要です、また、評価をする場合も、そのことを考慮した評価をして本人に説明することにより納得性が高まります。②についてですが、会社では常に何かしらの新しいことにチャレンジしないと業績は伸びないどころか衰退していきます。従って、新しいことを生み出すために色々なチャレンジを行うのですが、きっちりと成果に結びつくことはそうそうありません。そうなると、自分が役立っていないように思えて嫌になってしまいます。この場合は、成功する事だけが仕事の目的ではなく、チャレンジし続けることそのものが会社にとって重要であることを説明するとともに、例え結果が出なくても、そのプロセスや、そこで得たノウハウや情報をきっちり残したり関係者に説明して共有することにより、それが一定の成果になります。このように、結果が出なくても成果をまとめるようにする工夫が有効だと思います。
また、他部署や他の会社の役に立つということですが、これは自部署や自分の会社の利益と相反する場合に意見の食い違いが出てきます。具体的には、目先の利益と信頼関係・貸し借り、あるいは、短期の利益と長期の利益といった、どちらをとるかの判断です。これは、責任者や上司が単独で判断してその理由を説明しない場合や、部下に裁量権を渡さない場合などによく起こります。責任者や上司も自部署や自分の会社の利益だけではなく、それなりのバランスを考えて行動していますが、それが、担当者のバランスとは一致しません。バランスのとり方は人によって違うのです。ですから、それぞれの立場を考えて、各人皆が一定のバランスを持って他部署や他の会社と付き合えるように配慮していくのが良いと思います。もちろん、自部署や自分の会社の利益だけを考えている所があれば、そんなところは遅かれ早かれ無くなっていくことは明白です。

次回に続きます。