労働人口減少時代の人材確保を考える③/5

前回に続き、少子化で日本人の年齢構成が変わり、過去のように毎年新入社員が沢山入ってくるという時代にあって、会社の組織長/責任者が、働き手が仕事に求めることを認識・理解して、それと会社が働き手に求めることとをマッチさせて人材を確保するにはどうしていけばよいかを、項目ごとにコメントしていきます。

〇働き手のニーズ:成長できる
成長するというのは、特に自分が好きなことについて何かを解決したり克服したりしてレベルアップすることそのものが楽しい場合と、有効なスキルを身に付けたりキャリアアップすることで新しい職やポジションについて収入を増やしたり安定させたいという目的がある場合の、2つが思い浮かびます。この2つについて考えてみたいと思います。
前者の働き手がレベルアップを希望することについて、もし働き手が希望する具体的なテーマを持っていないなら、会社側が用意する必要があります。もちろん、働き手と会話する必要がありますが、例えば、入社したばかりの新入社員であれば、おそらくは色々なことを経験したいかもしれません。そして、見よう見真似でも良いので多くのことを一通りできるようになりたいかもしれません。そのような場合は、数か月~1、2年単位でジョブローテーションしてみることが良いかもしれません。
後者の有効なスキルを身に付けたりキャリアアップを望んでいる場合、具体的にはっきりしたものがあるのであれば、その業務を会社のニーズも含めて用意できるかどうかになります。ただ、その業務を会社が用意できない場合でも、また、もともと本人にキャリアアップ志向があるけれどもはっきりしたものを持っていないのであれば、会社側から提示することで本人が納得すれば互いのニーズをマッチ出来るかもしれません。社会人経験が少ない場合は、スキルを身に付けたりキャリアアップしたいと言っても、本当にそれが有効なものなのか、他にも必要なものは無いのか、もっと良いものは無いのかというのは、十分わかっていない場合が多いです。会社側にはある程度そういったノウハウがありますから、それを幾つか提示することによって、本人も将来に向けて多くの情報を得ることが出来ますし、選択肢も増えます。会社側が自分にそういった情報を提供したり会話をしたりしてくれるだけでも、働き手にとっては良いことでしょう。
つまり、成長したいといっても、何に成長したいか、何をしないと成長しないか、成長することによってどうなるのか、というのは一部を除いて多くの場合は分かっていません。ですから、働き手に寄り添って、一緒になってどうやって成長するかを考えていく、それによって働き手と会社の距離も近くなりますし信頼関係も上がっていくでしょう。

次回に続きます。