前回に続き、少子化で日本人の年齢構成が変わり、過去のように毎年新入社員が沢山入ってくるという時代にあって、会社の組織長/責任者が、働き手が仕事に求めることを認識・理解して、それと会社が働き手に求めることとをマッチさせて人材を確保するにはどうしていけばよいかを、項目ごとにコメントしていきます。
〇働き手のニーズ:人間関係が良い/チームで仕事できる
人間の持って生まれたものとして、これらは基本的には誰もが望むことでしょうし、社会人として会社で働くことを選んでいる人は、特にこの傾向にあります。一方、会社は複数の部署と複数のメンバーで仕事をしていますから当然利害関係が発生します。ある部署の個別ベストは、別の部署とのベストとは一致しません(例えば、予算の配分)。ある人がベストの仕事をしようとしたら、別の人はベストの仕事は出来ないかもしれません(例えば、装置の取り合い)。もちろん、ある人の評価が高ければ、別の人の評価は相対的に低くなりますから、収入にも影響していきます。従って、会社が大きくなればなるほど難しい構造になります。
部署毎や人毎の目標や価値観は大事なのですが、それよりも大切なのは、会社としての方針と会社としての目標です。全ての部署や人の目標や価値観はこれに基づいて作成されるべきです。従って、会社としての方針と目標をはっきりさせること、各部署の組織長/責任者がそれに基づいた部署毎の目標を立てて部下に説明すること、そして、部下はそこから会社全体の動きを把握して自分のやることをきっちり設定することが大切です。人間関係が良くチームで仕事するということは、皆が同じ目標を理解してそれぞれの役割が分かっているからこそ出来るのです。
ですから、組織長/責任者は、プレイヤーではなくマネージャーである必要があります。一時はプレイング・マネージャーがもてはやされた時代もありましたが、働き手有利の時代、あるいは、非正規社員含めて多くの様々な働き手が登場すると想定すれば、マネジメントに重きを置く必要があります。ここに書いたことを実行しようとした場合、他部署の組織長/責任者との会話、自組織のメンバーとの会話によって目標と役割を設定しないとできません。また、一度設定した目標と役割は、ビジネスが進んでいくうえで進捗管理をする必要がありますし、進捗状況やビジネス環境の変化があれば見直す必要もあります。また、部下もプライベートや心身が常に一定ではなく変化しています。これらの変化をきっちりとキャッチして、柔軟な対応をしていかないと不満が溜まることになります。ひと昔前では信じられないことではありますが、いかに、部下に気を遣っていくかというのがポイントになります。なお、気を遣うことは重要ですが、甘くするということとは全く違います。
次回に続きます。