日本の労働力③/3

前回の記事に続き、総務省統計局が出している「労働力調査結果」(平成30年(2018年)5月分)のなかから、気になった項目をピックアップして私なりの考察をしていきます。なお、考察する項目は順不同ですのでご容赦ください。

〇従業員者規模
農林業以外の雇用者数を企業の規模で見てみると、1~29人規模:1,565万人、30~499人規模:1,979万人、500人以上規模:1,749万人となっており、この区分で行くと、それぞれ同程度の数字となっています。1~29人規模の方は前年同月より増えていますので、新しく商売やビジネスを始めている方が増えているのでしょうか。逆に、500人以上規模の方も前年同月より増えています。大企業が採用を増やしているのか、あるいは、企業が成長して大きくなっているのでしょう。これは日本にとっては良い傾向のように思います。ちなみに、30~499人規模の企業だけが、前年同月を下回っています。ビジネスのグローバル化に伴って企業が大きくなるのか、新しいビジネスを興して夢を追うのか、二極化しているのかもしれません。

〇失業者
完全失業者は158万人であり、前年同月に比べて52万人(24.8%)も減少しています。企業の人手不足の深刻さが伺えます。完全失業者の内訳ですが、仕事を辞めた人が104万人、新たな求職者(学卒未就職、収入を得る必要が生じたから、など)が37万人となっています。仕事を辞めた人の内訳は、自発的な離職(自己都合)が64万人、非自発的な離職(定年、勤め先や事業の都合)が40万人です。就業者が6,698万人ですから、自発的な離職(自己都合)が64万人ということは、約1%の方が自己都合で離職していることになります。自分と合っていない仕事であったというならば仕方ないかもしれませんが、家庭や親族の都合であったり自身の体調であったりするのであれば残念なことです。そうれあれば、このあたりは働き方改革で是正されて欲しいものです。

以上、3回にわたって、日本の労働力について総務省統計局の情報から気になる項目をピックアップしてみました。私の感想は、日本は企業にとって景気は良い方向に行っており、人手も増やして生産能力を上げたいと思っている。そのため雇用も旺盛となっている。一方、高齢者の雇用が増加するなど人手不足が深刻になりつつあり、政府が働き方改革により労働力の向上を国を挙げて検討しているのもうなづけます。また、会社員/サラリーマンが本データを見た場合に、日本では必ずしも雇用者としてしか生きていけないのではなく、自らビジネスをやっている方/やろうとしている方も多いということが応援になると思います。もちろん、そんなに簡単なものではありませんが、そういう方も多いということを知っておくだけでも、心の持ちようが違うのではないでしょうか。一度、ご自分なりにデータを眺めてみてはいかがでしょう。

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