前回の記事に続き、総務省統計局が出している「労働力調査結果」(平成30年(2018年)5月分)のなかから、気になった項目をピックアップして私なりの考察をしていきます。なお、考察する項目は順不同ですのでご容赦ください。
〇就業者数男女
男性が3,746万人、女性が2,952万人となっています。対前年で見ると、女性の伸びの方が男性よりも1.5倍くらいとなっています。出産や育児や家事など、どうしても女性でないと出来ないこと/やりにくいことがあることを考えると、この数字は女性がかなり頑張っている数値だと思います。
〇従業上の地位
自営業主・家族従業者数は723万人、雇用者は5,931万人です。ざっくり言うと、会社員/サラリーマンやアルバイトなどが90%、自らビジネスや商売などをしている人が10%ということになります。この比率をどう見るかというのは、人によって大きく異なるでしょう。人や企業に雇われている方が90%と大多数であり、日本の社会や政治もこれを中心にまわっているのもやむを得ないという見方もあります。一方、10%もの人が、自らビジネスや商売をして生計を立てている、あるいは生計を立てようとしている方がいらっしゃるということは、会社員/サラリーマンの中でその仕組みの中で生きていることに漠然とした不満を感じている方、または、失業中の方で良い就職口が無くて職に就けない人にとっては、何かを感じる比率かもしれません。インターネットの普及や働き方改革により、今後はますます働き方が多様化していきますが、私としては、自営業主・家族従業者数の比率が上がっていくことを予想しています。
〇雇用形態(正規・非正規など)
正規の職員・従業員数は3,511万人、非正規の職員・従業員数は2,079万人になっています。正規の職員・従業員数の伸び率が前年同月に比べて2.2%であったのに対し、非正規の職員・従業員数の伸び率が3.8%であったことも合わせて考えると、非正規の職員・従業員数は当面は40%前後を推移していくと思われます。非正規の職員・従業員数の待遇改善などが問題になっていますが、これだけ多い非正規の職員・従業員のモチベーションをいかに向上させて、日本全体の生産力をいかに向上するかは、国にとっての重要課題と言えるでしょう。
〇産業
就業者を産業別に多いものから並べます。卸売業・小売業:1,077万人、製造業:1,065万人、医療・福祉:841万人、建設業494万人、宿泊業・飲食サービス業404万人が上位となっています。ネット通販などが増えてきましたが、まだ卸売業・小売業が一位です。ただ、無人レジなども増えてきましたので、今後は減ってくるかもしれません。2位の製造業は、モノ作りが日本からアジアへ移っていきましたが、依然として上位にあります。逆にここ数年では伸びる傾向にあります。コスト的な優位差は無くなりましたが、品質面ではメイドインジャパンは世界ではまだ通用するようです。減ると予想していますが、今後はどうなっていくのでしょうか。3位の医療・福祉は、高齢化社会になるとますます増えていくものです。増えていく傾向にはあると思いますが。
次回に続きます。