読書感想:坂の上の雲(司馬遼太郎)

坂の上の雲は、司馬遼太郎の歴史小説です。明治維新を経て新しい国家に生まれ変わった日本が、欧米列強に学びながら国力をつけていき、日清戦争と日露戦争と勝って行く姿が書かれています。物語は、明治の文学史に大きな足跡を残した俳人正岡子規、陸軍の騎兵部隊の創設者である秋山好古、海軍の海戦戦術を確立した秋山真之の3人の主人公の人生との関連を軸に描かれていきます。

本作品は、国対国の戦争を中心に描かれています。そして、各国の軍の作戦や最前線の兵隊の能力によって勝敗が大きく分かれます。敗者に死者が多く発生することはもちろん、商社であっても多くの被害者が発生することがあります。これは、現代においては、さながら企業対企業のシェア争いを見るようなところがあり、負けた企業はそのビジネスから撤退して多くの解雇が発生し、勝った企業であっても社員への負担は相当なものになることがあるのに似ています。いくつかその例を並べます。

〇秋山好古の「逃げない」戦略
10倍を超える敵を前に、秋山好古はぶれずに「逃げない」戦略を用いて必死に防戦し敵を退けます。これは、企業において、あの手この手を用いて波状攻撃をしかけるのも良いが、ただ一つの信念をもって事をやり遂げることの方が、相手をひるませたり、周りや消費者に認められることがあることに似ています。特に、今の社会では企業に要求されることは多く有りますが、色々と対応して全てに合格点を取るよりは、何かに集中してとびぬけた一つのことを確立した方が成功する場合があるということです。

〇秋山真之の「練り上げた」戦術
単に自分の経験や見聞だけにとどまらず、多くの書物などを読みつくして練り上げた秋山真之の戦術。ここまでのやり方というのは、現在のスピード重視の経営環境において会社員が実践するのは非常に難しい。しかし、なんでもかんでも速い流れに流されていくだけでは上手くいかないこともある。立ち止まって、先輩や過去や書物にヒントを見つけるというのも時には必要である。また、ビジネスの最前線では難しいものの、一方、インフラを整備する、システムを入れる、などの少し戦略を立てることに時間的余裕がある場合は、秋山真之の戦術は非常に役に立つ。

〇旅順の乃木希典第三軍の「単純」攻撃
旅順を攻めるに際し、乃木希典第三軍は単純な正面攻撃を繰り返し、自軍において大量の命を落としながらも作戦を変えようとはしない。司令部は第三軍から指揮権を取り上げて直接指揮を執って二〇三高地を占領することで窮地を脱する。これは、企業においてもよくある。過去の経験だけで実態に対応しない方法で仕事をさせるが、全く成果が出ずに社員が疲弊するだけ。責任者はそれを改めようとしないので、止むを得ずに責任者を交代するというものである。これは、早くしないと社員が疲弊し、ひどくなると退社していく。

このように、本作品は、現在の企業の責任者や本社部門にとって教訓がたくさんあるものになっています。ぞのような方におススメです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする