これまでの記事で、理系から文系に転身する方が多いことを説明し、技術者の転身で失敗しないように注意していくべきことを項目ごとに説明していっています。今回の記事もその続きで、色々な項目について記載します。
〇現実的思考
研究者はさておき、技術者は、現実的に動くハードウエアやソフトウエアを設計して世に送り出す必要があります。そこには、動いて欲しい、うまく行って欲しい、などといった希望はありません。動くのか動かないかどちららかであり、動かすしかないのです。ですから、夢物語というのは設計の中にはありません。仕事というものは、全て現実世界で動くのです。ところが、営業職や事務職は必ずしもそうではありません。希望を描いてそこに向かってみたり、色々な作戦を練って可能性を探ったりしていきます。現実的な話ばかりしても、将来へのステップに繋がらない可能性があります。このあたりに、技術者と他の職種の違いがあります。転身してきた技術者は、得てして現実的なことばかりを追いかけて、夢を語ろうとしません(夢を語ることに慣れていません)。ですから、夢を語りそれに一歩一歩近づく可能性を試す、といった仕事のやり方にも慣れていく必要があります。
〇論理的思考
沢山の回路からなるハードウエアや、多くのステップから構成されるソフトウエアを設計する場合、論理的に一つずつ回路やステップの設計を重ねていき、全体が順序良く動くようにしていくことが必要です。理路整然と設計されているハードウエアやソフトウエアは、動作不要も少なく、無駄もなく、柔軟に色々な機能を持つことが出来ます。論理的な思考から生み出された整然とした設計が、良い製品となることが多く有ります。一方、営業職や事務職では、全てが論理的な考えで結論が出るわけではありません。例えば、事務職は集めてきたデータがすべて正しいものとは限らず、過ちや条件違いがあるかもしれません。そうなると、データをそのまま見るのではなく、ある程度の誤差を見越しながら目利きを効かせた解析が必要になります。また、営業職でお客様と会話する場合、お客様は論理的に製品を選ぶのではなく、感情やあるこだわりを持って選ぶことが多く有ります。そのようなお客様に、論理だけの商談を進めてもうまくいきません。このように、世の中は論理だけで動いているわけではないので、仕事をうまく進めるために、あるいは成功させるために、どのような思考で進めていくかを毎回常に良く考えていく必要があります。もちろん、論理的思考がNGと言っている訳ではありません。時と場合によって変える必要があるということです。
次回に続きます。