技術者の転身④/11

これまでの記事で、理系から文系に転身する方が多いことを説明し、技術者の転身で失敗しないように注意していくべきことを項目ごとに説明していっています。今回の記事もその続きで、色々な項目について記載します。

〇好き嫌いがはっきりしている
何か製品を設計する場合などは、機能を実現するためには一つではなく複数のアプローチがあります。これまでの設計手法を流用して手堅く実現したり、新しい革新的な技術を用いて他社とは差別化したりとかなどのアプローチになります。前者ですと、楽ではありますが自分のオリジナリティは出せません。また、過去の設計が自分のものではなく先輩や他社がやったりするものですと、解読しながら行う必要があります。一方、新しい革新的な技術を用いるのであれば、細かいところから全て自分でやっていかねばならず、足りない部分をすべて完成していく必要があります。成功すれば良いのですけれども、多くの苦労がありますし成功しない場合もあります。これらは、どちらが良いというものでもなく、特徴が違うということです。ところが、技術者には自分の性に合っているもの/合っていないものがあります。楽しかったものうまく行っただったものは好きになりますし、苦労したもの失敗したものは嫌いになります。設計というのは長い時間かかって完成するものですから、自分に合っていないやり方をやるというのは、大変な負荷になります。このことにより、技術者は必然的に好き嫌いが激しくなり、やりたいこと/やりたくないことがはっきりしていく傾向にあります。製品を設計する場合、各機能をそれぞれの設計者に任せて、それを一つに組み上げることが多いので、それぞれの設計者がどのような手法をとるかはある程度任せてもらえます。ところが、文系職種、例えば営業職や事務職では、そういう訳にも行きません。一つのプレゼンテーション資料を作成する場合、5人が1枚ずつ資料を作り、それを合体させてい完成させる場合があります。資料ごとに、自分の好き嫌いで作っていては、全体を通して綺麗なストーリーになりません。プレゼンテーションというのは、個々の資料の出来よりも、全体のコンセプトがきっちりとしており、ストーリーが明確で隙が無いところが良いとされる場合が多く有ります。個々の資料が個人の好き嫌いで作成されたりしていると、まとまりが無くて聞いている方が不安になるものです。このように、理系の好き嫌いというのは、文系職では無くすべきでしょう。

次回に続きます。