技術者の転身③/11

これまでの記事で、理系から文系に転身する方が多いことを説明し、技術者の転身で失敗しないように注意していくべきことを項目ごとに説明していっています。今回の記事もその続きで、色々な項目について記載します。

〇こだわりが強い
技術者というのは、例えば製品を設計して世に出していく設計者であれば、自分の製品に愛着を持っていますしプライドを持っていますし責任を持っています。それゆえに、きっちりしたものを作りたいですし、オリジンナリティを出したいですし、問題があればすぐに対応したいと思っています。それが故に、こうしたい、こうしておきたい、このようにリカバリしたいというのが強く、その結果、個人個人がそれぞれ特徴あるこだわりを持つことになります。この、こだわり、というのはとても重要なもので、これがあるからこそ、世の中に色々と魅力ある製品が出されていくわけです。また、最近の製品は多機能高機能になってきたため、一人で全てを設計することは事実上不可能であり、複数のメンバーでチームで行うことが殆んどです。技術者で出来たチームというのは、お互いのこだわりを尊重し、各自がこだわりを持っている部分はそれぞれに任せきり、それを侵食しないように互いのテリトリーを作りながら進めていく傾向にあります。しかしながら、文系の職種、営業や事務職はそういうわけにはいきません。例えば、取引を成功させるためには、皆で協力して資料を作ったり、取引先にこちらの要望が上手く伝わるようにチームプレーで説明・交渉したり、宴席の場を盛り上げて言ったりします。皆でやろうとしている時に、ある人があるこだわりを持って曲げない、となれば、チームは成立しません。もちろん、仕事を進めるうえでは、文系職種であってもこだわりが必要なところはありますが、協力しあうところは協力しあったり、取引先に花を持たせたり、取引先に合わせたりするということも必要になってきます。要は、こだわりが必要なところは絶対曲げてはいけないのですが、こだわりを持ってはいけないところやこだわりが不要なところは、それを捨てないといけません。このような傾向は、技術者から文系職種に変わってきた人には多く見受けられます。また、こだわりがあったとしても、それは、自分の世界、であってはいけません。皆がこだわりをもつべき、と判断したところにこだわりを持つべきなのです。チームとして、部署として、会社としてこだわりを持つことは、技術者のこだわりとは大きく違うのです。

次回に続きます。