前回の記事では、理系で就職しても多くの方が文系に転身せねばならない実態を説明しました。今回以降は、理系から文系に転身する方、つまり、技術者の転身で失敗しないように注意していくべきことを項目ごとに説明していきます。
〇まじめな性格
技術者は、まじめな方が多いです。これは、色々なハードウエアやソフトウエアを注意深く設計し、間違いなく動かすようにするためには、ミスを犯さずに多くの問題をクリアして完成させていく必要があるからです。くみ上げたものが一つの間違いで全てパァになることもあります。例えば、これは、ドミノを並べているような感覚です。それゆえ、真面目でないと技術者は成り立たないのです。ところが、文系の業務では必ずしも、それが美徳ではありません。ビジネスパートナーとは、お酒を飲んでバカ騒ぎして仲良くすることが大切な場合もありますし、例え、今は不利な取引であっても、次に有利な取引をするためには必要かもしれません。商談で、一見無駄と思われる馬鹿話をしていたとしても、そこには取引における重大なヒントが隠されているかもしれません。このように、ビジネスが成功するかどうかは、まじめであれば良いのではなく、結果が良いことが大事なのです。このことに気を付けて、技術者から文系業務に転職した人は実務にあたるべきですし、周りの人もそれを教えてあげる必要があります。
〇はっきりした性格
技術者、特にデジタル技術者は、常にYesかNo、0か1、OKかNGを判断しながら、ハードウエアやソフトウエアを設計していきます。常にどちらかを選択せねばなりません。どちらかを選択すると正しく、残りを選択すると誤っているわけです。これは、設計業務では重要なことですが、人間関係としてこれは正しい訳ではありません。時と場合によって、正解と不正解が入れ替わる場合があります。それは、人間は感情や環境変化で判断結果が変わる生き物であるからです。また、常に、YesかNoかをはっきりさせた方が良いとは限りません。どちらとでも取れる内容で結果をだしておき、その後、時と場合によって結果を変えた方がうまく行く場合もあります。また、全員がNoと思っていても、その場ではYesとすれば場が上手く収まるのでYesと答えるが、実は、全員がNoが当然としてそれ以降に動いている場合もあります。このように、はっきりさせない方が、ビジネスとしてうまくいく場合があります。ですが、技術者から転身した人は、どうしてもYesかNoをはっきりさせたくなる傾向があります。よって、技術者から転身してきた人は、周りの空気を読みながら最初は周りに合わせ、あるい程度わかってきてから、はっきりすべきこと・そうでないことをうまく自分なりに区別していくようにしましょう。
次回に続きます。