技術者の転身①/11

理系と文系という言葉があります。この2つの違いは色々な表現で言い表されていますが、一般的には、理系とは、物事を論理的に考えるタイプであり技術的な学問や仕事が得意である場合を言い、文系とは、物事を抽象的感覚的に捉えるタイプであり人との付き合いや関係構築の仕事などが得意である場合を言うことが多いようです。

理系と文系は、まず高校の高学年で分かれることが多く、専門学校、短期大学、四年制大学ではどちらかを選ぶことになります。そして、就職においては、多くの方が学校で選んだ理系か文系のどちらかに沿って会社や職種を選んでいきます。

就職後は、多くの場合、文系で就職した方が理系に転身することは稀です。一方、理系で理系で就職した方が文系に転身することは多く有ります。というよりも、その方が多いと思われます。と言うのも、理系で就職すると、研究職や技術職に就くことが多くなりますが、これを長く続けるのは難しいからです。例えば、技術の進歩は激しいため、10年もすると技術が入れ替わることも多いです。そうなると、古い技術は不要になり、その技術者も不要になります。また、技術職は、例えば商品開発などでは納期が厳しいために若くて元気でないと体力が続かず、中年以上では難しい場合もあります。一方、技術職に就いていても、優秀であれば責任者にされることも多く、マネジメントになってしまいます。このような理由から、理系である技術者の多くは、途中で文系に転身せざるを得ないことが多々あります。

ところで、冒頭で書いたように、理系と文系では得意分野が大きく変わります。逆に言うと苦手分野も沢山あります。ですから、理系から文系に転身した場合は、得意分野を活かすとともに苦手分野を克服していくことが必要です。一方、周りの文系の人は、理系から転身してきた人の性質を理解して、得意分野を活かせるような業務を与えるとともに、苦手分野をサポートすることによって、チームとして文系の人だけでは出来なかったことが出来るようになり、業務の幅を広げることが可能です。

特に、以前のビジネス環境というのは、文系は文系、理系は理系の仕事だけをやっていれば成立していましたが、最近は違います。文系であっても、スマートフォンやパソコンやアプリケーションを使わなければなりませんし、インターネットやデータベースの知識を使ってこそ広がる知識というのもあります。そういった観点から、理系の人は文系に転身しても有効になります。

次以降の記事からは、理系から転身した人、つまり技術者から転身してきた人が、どのようなことに注意すればうまく文系の仕事ができるかを考えていきます。

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