読書感想:沈まぬ太陽(山崎豊子)④/4

前回の続きです。沈まぬ太陽は、アフリカ篇、御巣鷹山篇、会長室篇、の3部構成になっています。主人公は、国民航空に勤める恩地元です。物語そのものが、実在した日本航空の社員や日本航空の事故での取材などをもとに構成されているため、非現実的な内容ではなく、現実に十分起こりえること/現実に身近に起こっている内容となっています。

〇会長室篇
御巣鷹山でのジャンボ機墜落事故から4ケ月、総理大臣は国民航空の再建のために、関西の紡績会社の会長である国見正之を国民航空の会長にする。そして、恩地元は国見正之が新設した会長室に抜擢される。国見正之と恩地元は調査を進めていくものの、国民航空と政界の癒着につきあたり、内閣からの圧力がかかって国見正之は辞任、恩地元も遺族係に戻ります。そして、最後は、恩地元は再びナイロビに、仰天四郎は横領が発覚して東京地検に連行されます。
現実の世界でも多く見られるのが、腐敗した部署や組織を立て直そうとして責任者を把握するものの、それが上手く行かない例です。国見正之が恩地元を登用したように、実力や正義感があるものの干されている人物というのは、新しく来た責任者がとる人事でよくあることです。長期にわたって改革するのであれば、人事を変更せずに様子を見ながら徐々に改革していきますが、短期で成果を求められるのあれば味方となる人物を見つけ出して調査していく方法は有効です。
一方、腐敗した組織や部署には黒い闇や多くのしがらみなどがあり、一筋縄では行かないことも多く有ります。彼らは自分たちが居る世界に精通しており、その利権を守ることには長けています。また、後ろ盾となる巨大な権力を持っていることも多々あります。だからこそ、長期的な腐敗が続くわけです。こういったことがあると、外から来た責任者が改革できる範囲というのは限りがあります。自分の見方をたくさん作り、相手とも勝てない喧嘩をすることがないように慎重に進め、全体のバランスをとりながら改革を進める必要があります。
いまの企業の経営環境というのは、自社だけでなくグローバルで様々な会社や部署や関係者と仕事をしています。そしてそれらには様々な人の思惑が渦巻いています。このような中にいきなり一人で置かれた場合、自分が貫こうとしていることが例え正義であっても、必ずしも成功するわけではありません。国見正之は他社の会長をしていたほどの人物であったにもかかわらず、うまく行かなかったのです。このあたり、企業の改革を進めていく難しさ、どのように渡り歩いていくべきかというのは、この時代にあってもとても参考になる作品になっています。

以上、4回に渡って、沈まぬ太陽をサラリーマン目線から検討してみました。色々と考えさせられる作品です。新入社員が読んでも、中堅社員が読んでも、面白いと思います。お勧めします。

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