やってみないとわからない

「やってみないとわからない」という言葉は、色々な意味で使われる言葉です。よく使われるのは、挑戦することは大切だ、勝てない・出来ないと思っていることでも、やってみたら勝てたり出来たりすることも多いということです。ビジネスで、新人がひるんでいたりする時に、後押しとして使う言葉としては役立つことも多いです。特に、最近の新人は失敗を恐れる傾向にありますから、上司としてバックアップ体制をきっちり作っておいてあげるなら、良い方向に行くことも多いでしょう。

一方、新人も仕事を始めて2-3年経つと、一通り仕事が分かった気になってきます。そうなると、上司のアドバイスもあまり聞かずに、勝手に仕事を進めるようになってきます。もちろん、仕事がそれなりに上手く進んでいる時は構わないのかもしれませんが、仕事が上手く進まなくなった時に簡単に割り切って諦めてしまうことがしばしばあります。例えば、営業職だと「あの企業は、今年は予算が無いから何をやっても売上は上がりません」と言ってきたりします。

ところが、実際はそうとも言えません。いくら予算が無くても、企業とは必要な物であれば購入します。最初は予算が無くても、他の予算を使わなくなったので余っているかもしれません。あるいは、本当は予算があるけれども、たまたまその営業職を追い払いたくて嘘をついているかもしれません。このように、得た情報が本当であるかどうかも分かりませんし、得た情報が本当だとしても。状況は刻々と変わっていくわけですし、あるいは、状況を自分から変えることはできるわけです。

しかし、仕事を出来るようになったと思いこんだ若者は、そういうことは聞きません。それに、失敗したり無駄なことをするのが嫌いなので、確率が低いものには手を出そうとしません。これが、若者の成長については、阻害要因になります。仕事というのは、色々なことを経験し、色々なことを発見し、出来ることをコツコツと積み上げていきながら、最終的に大きな仕事が出来るようになるのです。一度に大きなことが出来るようになるわけではありません。こういうことを、若者に理解させることはなかなか難しいものです。

こういった若者に、「やってみないとわからない」という言葉は通じにくいです。「わからないことはやりません」という風になってしまいます。ですから、自分の経験談を話す、このようなプロセスを経ると仕事が出来るようになってくる、そして、最後は「信じてやってみてくれ」といったほうが効くのかもしれません。「最近の若い者は・・・」とボヤいたところで何の進歩もありません。いかに若者に理解させ、経験させ、成長させるのか、それをやり切った企業が競争力を上げていくのでしょう。