読書感想:ボッコちゃん(星新一)

ショートショートの神様と言われる星新一。ショートショートとは、小説の中でも特に短い作品を言います。星新一作品は、ショートショート集だけでも数十冊以上刊行されています。一冊当たりに50以上のショートショートが収められている作品も多いですから、生涯に生み出したショートショートの数はものすごい数になります。

ショートショートと言えば、単行本で言うと一作品が数ページかそれ以上というのがほとんどです。ですが、一話おける物語の展開は、場合によっては中編小説に負けない意外性があります。星新一のショートショートを読み終わった時の爽快感は、中編小説を読み終わった時と負けないものがあります。このような作品群が、一冊の単行本の中に50も収められていれば、夢中になって読んでしまうわけで、それが何十冊も刊行されているのですから、ハマってしまえば、中毒のように買い続けることになります。私は、中学生のころにハマりましたが、毎日のように本屋さんで星新一作品を買い求めていました。

星新一ショートショートの多くは、未来をテーマにしています。それは、宇宙船とかロボットとかという単に時代が進んだ背景を選んでいるのではなく、消費が増えすぎたあまりにゴミの処理をどうするかという話題であったり、原子力発電の廃棄物をどのように処理するかという話題のように、現在(当時)から当然起こると予想されるであろう未来テーマを多く選んでいます。このことが、単なるSF的ストーリーではなく、イソップ物語のような寓話的内容になることも多く、身近に近未来に起こりそうな問題への警鐘でもあったりします。

親族に、学者、小説家、会社社長が居り、大学は理系、そして、急逝した父親の跡を継ぐため大学院を中退して社長になります。しかし、経営破綻をして会社を処理するなどして苦労し、その後に作家としてデビューすることになります。

このように、家庭環境として広い世界を見ることができる立場にあり、東京大学の理系で学ぶなど探求する力もつけています。さらに、若くして会社経営を行って破綻処理まで行うなど、見識の広さ・探求力・社会のしくみの悲哀の理解などを持っています。これらのことを知っている星新一だからこそ、数多くの物語を書くことができるのでしょう。多くいる作家の中で、本人の苦労はさておき、ここまでの経験を持っている者はなかなかいないでしょう。また、多くのことを若いうちに短期間で経験してきたのですから、何事も素早く処理をしてきた(せざるを得なかった)でしょう。作品もダラダラと書くよりも本質を捉えた短い物語をズバッと書き切る方が、性に合っているのでしょう。

もし、まだ読んだことが無い方がいらっしゃれば、是非おススメします。星新一ワールドを一度経験してみてください

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