中国の董事長と総経理

中国企業の方と面談をするとき、一番偉い人ということで「総経理」と呼ばれる肩書の方を紹介されます。総経理って何?と現地の人に聞いてみると、社長です、と言われます。ところが、その方と会話をしても、日本の社長のような腹括りというか重さみたいなものをあまり感じることはできません。一方、普段はあまり人前に出てくることはないのですが、たまに中国の「董事長」と呼ばれる方を紹介されることがあります。会話してみると、日本の社長のような重さを感じることができます。では、現地の人に。董事長って何?と聞くと会長です、と言われます。でも、日本で感じるイメージとは少し違います。

日本では会社によって違いがあるものの、社長が「代表取締役社長」として、代表権を有して対外的に取引などを行うとともに、社内的にも経営管理を行っていきます。つまり、社内外においてトップであることが多いです。一方、会長は、日本で多いのは、社長を引退して実務は新社長に任せ、自分は経済団体の役員をしたりして、社長のサポートを行います。ですから、取引先としては、社長をトップとしてお付き合いすることが多いです。

しかし、中国の董事長と総経理は、そうではありません。董事長は、日本でいう取締役会にあたる「董事会」の議長のようなものであり、董事会を仕切って、会社の方針、予算、会社合併・分割、総経理の任命などを行います。そして、総経理は、董事会で選ばれることにより、董事会で決まったことを実施していく役割になります。

このように比較してみると、中国企業の方とのお付き合いの仕方も色々とよく考える必要があります。もちろん、日常の取引を継続して行う場合は特に問題はありませんが、新しく取引を始める、取引を拡大する、取引を止めるなどといった場合などに注意が必要です。というのも、日常の取引においては総経理と業務を行うことで十分ですが、取引を始めたり拡大したりやめる場合は、総経理との会話だけでは十分な情報が得られなかったり会社としての意向が確認できない場合があるからです。また、取引におけるこちらからの重要な要望や方針合わせをお願いする場合も総経理では不十分な場合があります。もちろん、金は出すけど実務には殆んど口を出さない董事長も居れば、会社の方針を殆んど決めている総経理も居ますので、一概には言えません。日常は総経理とよく会話ができると思いますので、そこから董事長との関係を確認し、必要とあれば董事長とも面識をもったり意見交換するようにしておくことも重要です。

このように、国が違えば、会長や社長などの役割も随分変わってきます。相手のしくみを知って、取引を行うようにしましょう。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする