あなたがマネージャーをしており、部下が5人居たとしましょう。その部下たちのそれぞれが同じ作業をする場合、例えば、レポートを作成したり、売り上げを計算したり、経費を計算したり、購買実績を集計したりする場合、マネージャーとしては同じやり方でして欲しいものです。5人それぞれが違うやり方で作業して報告されても、レポートをひとつにまとめるのも大変ですし、違う計算方式で計算された売り上げや経費は合算しても正確な意味を持たなくなってしまいますし、購買実績の集計において分析方法が違えば全体分析は出来なくなってしまいます。
しかしながら、5人の部下にやり方を統一しろといっても、なかなか統一できないものです。レポートにおいては、それぞれ仕事の仕方や得意分野や隠したいことなどが違いますので、合いにくいものです。売り上げや経費の計算では、個々の件名の明細が異なったり、入金時期や支払いタイミングが異なったりすると、色々な考え方が出てきます。購買実績の集計では、個々の案件について分析するためのデータ付加を統一して行わなければ共通分析はできませんが、新たにデータを付加するという作業は時間がかかるために、誰も合わせていこうとはしません。
このように、仕事のやり方を統一させようと思っても、マネージャーが声を掛けただけでうまくいくことはほとんど無いと思います。
では、どうすれば良いでしょうか。ひと昔前のパソコンが無い時代は、これを統制することは非常に難しかったのですが、いまは、多くの作業がパソコンで行われているので逆に統制が簡単になっています。つまり、システム化してしまうのです。レポートであれば、項目を決めてしまい、行数も決めてしまいます。売り上げや経費の計算であったり購買実績の集計などであれば、決まったデータの入力だけを求めて計算や集計はシステムでやらせるようにします。つまりは、パソコンなどのシステムに定型フォームで入力する以外には出来ないようにするわけです。こうすることにより、作業はほぼ統一することが出来ます。
ただ、注意すべきことがあります。型にはめてしまうということは、その通りのレポートや計算や集計が行われる反面、環境変化が起こった場合の対応が難しくなるということです。ですので、システム化をすることはゴールではありません。システム化は、現状業務の効率化のスタートであるとともに、環境変化が起こった場合に更にシステムを改善していくというシステム進化のスタートでもあるのです。型にはめるとともに、その型を変化させていく、これが仕事のやり方を統一するとともに環境変化に対応していくポイントです。