会社員をしていると、上司から報告用の数値を求められることがあります。報告用の数値も色々とあって、今年度の売上実績やその中身の分析、来年度の売上予想やその根拠データなど、過去の物から未来の物、そして、全体数値から個別数値など、様々な物があります。
しかしながら、上司から求められる数値というのは、得てして完全に用意出来るものではありません。今年度の売上実績を出そうにも、自分で担当している分なら出せますが、海外拠点の分も集計しようとすると海外の集計結果を待つ必要があります。中身の分析についても、要因をそれぞれ出しでもらわないと正確にはわかりません。過去の値ですらそうなのですから、来年度の売上予想やその根拠データともなると、難易度はさらに上がります。そうなってくると、完全な数値を出すのは難しくなりますし、出せるにしても時間がかかってしまいます。そうなると、なかなか上司の求める数値を準備するというのは難しくなります。
ところで、上司やその上の幹部ともなってくると、これまで色々な仕事をしてきたのですから、数値を出すのが難しいことくらいは分かっています。正確な数値などは難しいということもよく分かっています。それを分かっていても数値を求めてくる場合は、上司やその上の幹部は、きっと、多少の精度は落ちても構わないから、経営判断ができる程度のレベルの数値が欲しいということなのです。
そうなると、こちらとしてもやり方はいくらでもあります。今年度の売上実績が届いていない海外拠点があったとしても、その分は前月までの売上実績から類推しても構いません。中身の分析についても、主要拠点の情報が有れば、小さい拠点の数値は無視しても問題ない場合もあるでしょう。来年度の売上予想や根拠データも、担当者から全てが集まらなくても、過去の実績からの推移やマーケット情報から問題ない範囲で推察できるものもあります。
つまりは、上司から「どの程度いい加減でも良いのか?」を聞き出し、許されそうな範囲で、ある一定のロジックで類推したり、類似データや統計データを使って補完して類推したりするのです。そして、上司には、類推した内容とともに報告をすれば構いません。
こういった報告をすると、上司やその上の幹部は慣れていますから、あなたの類推が正しいと思えばそのまま見ますし、あなたの類推が違うと思えばそこは色眼鏡をかけて自分で補正しながら見ます。このような数値の作り方に慣れてくると、上司やその上の幹部の方の「数値の類推方法」も分かってきますので、意向に沿った的を得た類推ができるようになってきますこうなると、数値作成はとても楽になってきます。また、このような数値化能力を持つ人は意外に少ないので、あなたは重宝されることでしょう。