ボトムアップの改革を成功させるには?④

前回の記事では、ボトムアップの現場提案で陥りがちな失敗例を2つ書きました。本記事でも、そのような例をいくつか記載して、最後にこのシリーズをまとめます。

別の現場の提案で有り勝ちなのは、現場として、その問題を完全に解決することを経営者や組織長に求める場合があります。例えば、以前に発信されたトップダウンの方針が残っているものの、現場の状況が変わって一部変更しないと利益が損なわれていくのだが、古い社員がそれを変えようとしないという場合です。現場の提案としては、トップダウンの方針を一掃し、しくみを一気に新しくして、場合によっては古い社員も全て入れ替えてくれという要求をしてくる場合があります。もちろん、そこまでやれば全て解決するかもしれませんが、会社運営と組織運営では出来ることと出来ないこともあります。また、これが出来てしばらくしないと、次に行けないというものもあるでしょう。ですから、現場としてはすべてを解決することを要求するのではなく、経営者や組織長と相談して実現可能性あるものから確実に順番に実行していくことが大切です。

また、現場の提案が他部署にも影響する場合は、他部署との合意を得ること、調整を済ませておくことも重要です。経営者や組織長が、部下の提案を採用しようとしても、他部署の責任者や現場が反対するとうまく行きません。現場提案を実現してくのは他部署の現場提案があってはじめて実現します。ですから、俗にいう根回しですが、これも行う必要があります。

このように、ボトムアップの改革というのは非常に骨が折れます。権限も責任も無い中で、経験豊富な経営者や責任者に理解してもらい、周りの協力も得ていうというのは並大抵のことではありません。今行っている仕事以上の負荷がかかるかもしれません。ですので、やはり協力してくれる指導者が居ると進みやすいです。上位者か下位者であるかはさておき、現場に理解があり、現場の改善提案を成功するように具体的に導いてくれて、経営者や組織長に進言するサポートを出来る人です。このような協力している指導者は会社には必ずどこかに居ます。というのも、そういう人が居ないと会社は潰れてしまうからです。自力で全てやるのも良いですが、可能であれば、このような指導者を探し当てましょう。

以上、今回まで、ボトムアップの改革の実現方法について述べました。ビジネスがグローバルに広がって、環境変化が速くなった今となっては、現場からの効果的な改革発信がとても重要になります。また、これを成功させる力のある人が今後のビジネスの中心になっていくように思います。あなたも是非、そのような人になってください。