前回の記事では、問題発見者が現状を正確に分析し、的確な解決方法を提示し、トップに進言して理解を得て、そこからトップダウンで一気に解決していくことの必要性を書きました。では、どのようにしていったら良いのでしょうか。
現場の提案で有り勝ちなのは、現状起こっている問題点を解決するための具体策を提示するものの、その理由を示されていない場合が多く見受けられます。良い経営者や組織長は、問題の本質を捉えて根本的な解決を狙うものです。例えば、例えば、新しいシステムを導入したけど、現場に合っていないのでシステム導入以前のオフラインの業務が依然として残っており、2重業務になっている場合です。現場に有り勝ちなのは、とにかく手っ取り早く解決したいので、「オフラインの業務を処理するためにスタッフを増やしてくれ」という提案のみを出す場合が多いです。ですが、経営者や組織長は、「システムを入れたのだから、それを使いこなせない現場が悪い」と判断して、通常であればその提案は却下します。この場合の本質に近い正解は、導入したシステムが現場に合っていないのでシステムの改良を行うことです。ただし、システムの改良は一朝一夕にはできないので、6ケ月だけ急場しのぎでスタッフを雇い、その間にシステム改良を行って結果といて導入システムを使った効率的な業務フローを定着させる、というステップ策がベストかもしれません。ここまで理由を説明すれば、経営者や組織長は理解しやすくなります。このように、単に解決策を示すのではなく、問題点をきっちりと説明してから解決策を示すことが重要です。
現場の提案で他に有り勝ちなものに、トップが実現できない解決方法を提示することがあります。例えば、大きな組織変更をしたけれども、組織間の業務分担やしくみが明らかになっておらずに混乱が続いてモチベーションが下がって人が辞めていく。この場合、現場から提案されることとして、「この仕事とこの仕事は、私たちの本来の仕事ではありませんので、他の部署にやらせてください」という場合があります。このような提案を受けても、経営者や組織長としては、なかなか動けません。組織変更しただけで仕事が変わっていないなら、合計の人数を増やすことが出来ません。仕事を他部署に振るなら人員も振る必要があります。また、仕事を他部署に振るなら、その後の部署間の新しい業務ルールの作成も必要です。このような具体的な内容は、経営者や組織長は分かりませんので、現場で作成して提案まで持っていく必要があります。もちろん、現場としては非常に負荷がかかる作業ですが、そこまでやりきらないと実現はできません。
次回以降に続きます。