ボトムアップの改革を成功させるには?②

前回の記事では、ビジネスのグローバル化・高速環境変化に対応するために、現場の問題とその改善策・改革策を上位者に伝えることが大切だと書きました。

もちろん、トップダウンの会社であれば必ずしも現場の問題等をボトムアップすることは求められていないかもしれませんし、ボトムアップの会社であっても求められたことだけを淡々とレポートすれば怒られることもありません。しかし、自分の会社のビジネスが成功することは自分の生活の安定と収入アップにつながりますし、自分が良いと思ったことを実現していくことは充実した会社生活につながります。また、ビジネスマンとして上を目指していくのであれば、上位者に現状を正しく伝えるとともに解決策を提示して実行していくのは必須です。こういった観点から話を進めましょう。

仕事を進めていく上で、ビジネスの根幹に関する大きな問題というのは下位者から上位者に伝わっているのが通常です。また、重要事項については上位者で議論して決めることが多いので、そういったことはここでテーマアップする現場の問題ではありません。上位者が認識することが困難な現場の問題というのは、本来はビジネスの根幹ではないのであるけれども、ビジネスに悪影響を与えるようになってしまった問題です。

例えば、新しいシステムを導入したけど、現場に合っていないのでシステム導入以前のオフラインの業務が依然として残っており、2重業務になっている。大きな組織変更をしたけれども、組織間の業務分担やしくみが明らかになっておらずに混乱が続いてモチベーションが下がって人が辞めていく。以前に発信されたトップダウンの方針が残っているものの、現場の状況が変わって一部変更しないと利益が損なわれていくのだが、古い社員がそれを変えようとしない。

このような問題は、経営者や組織長は中々気づきませんし、指摘されてもピンと来ません。また、問題を理解したところで、経営者にとってみれば細かいところの改善に手を出す時間はそうそうありません。それでなくても、経営者や組織長には経営を揺るがしかねない日々様々な問題が発生しており、日夜そのことに頭を悩ませているのです。「現場のことは現場で勝手に解決してくれよ」というのが正直なところではないでしょうか。

もちろん、ひと昔前であれば、このような現場の悩みは現場で解決しました。関連する人が4-5人集まったり、あるいは、責任者が数人会話すれば解決することもありました。しかし、昨今はそうはいきません。関係者が集まると言ってもグローバルに広がっており、会議をするだけで大変です。しくみを変えようにも、システム変更を伴うことが多く出費も発生します。ですから、問題発見者が現状を正確に分析し、的確な解決方法を提示し、トップに進言して理解を得て、そこからトップダウンで一気に解決していくことが近道です。

次回以降に続きます。