働き方改革について考える①

安倍総理が推進する働き方改革は、広告大手電通の違法残業事件などの社会的問題意識の高まりも要因として、いまやあちこちで聞かれます。特に、サラリーマン/会社員は、働き方改革=残業削減・効率化を求められて課題がまた一つ増えたという意識はあるものの、その全体像はあまり説明されていないと思います。そこで、今回は、働き方改革について理解を深め、サラリーマン/会社員はどう捉えて何をしていかないとならないかを考えます。

働き方改革については、首相官邸ホームページに掲載されている「働き方改革実行計画(平成29年3月28日決定)」に詳しく説明されています。まずは、これを確認していきます。

〇経済社会の現状=「4年間のアベノミクスで、名目GDPは47兆円増加し、ベースアップも数年数年続いている。有効求人倍率も25年ぶりに高い水準となり、史上初めて全都道府県で1倍を超えた。日本経済はデフレ脱却が見えてきている。しかし、一方で個人消費や設備投資といった民需は足踏みが見られている。この根本には、少子高齢化と生産年齢人口減少という人口の構造問題に加え、イノベーション欠如による生産性向上の低迷や、革新的技術への投資不足がある。日本経済の再生を実現するためには、投資やイノベーションの促進を通じた付加価値生産性の向上と労働参加率の向上を図る必要がある。そのために、一億人が総活躍できる明るい未来を切り拓けば、少子高齢化に伴う様々な課題も解決できる。なお、一億人が総活躍するには、家庭環境や事情が人それぞれ異なることに対応していくことが必要である。」

〇今後の取組の基本的考え方=「非正規労働者は、正当な処遇がなされていないという気持ちを起こさせ、頑張ろうという意欲を無くす。また、長時間労働は、健康や仕事と家庭のバランスに悪影響を与えて少子化の原因となる。多様かつ柔軟な働き方が選択可能となるよう、社会の発想や制度を大きく転換する。人々が人生を豊かに生きていくことで、消費を押し上げ、より多くの方が心豊かな家庭を持てるようになる。そうなれば、日本の出生率も改善していく。」

〇本プランの実行=「総理が自ら議長となり、労働界と産業界のトップと有識者が集まって、これまでよりレベルを上げて議論した。働く方の実態を最もよく知っている労働側と使用者側、さらには他の有識者も含め合意形成をした。スピードと実行が重要である。なかでも罰則付きの時間外労働の上限規制は、労働基準法 70 年の歴史の中で歴史的な大改革である。いまこそ政労使が、必ずやり遂げるという強い意志を持って法制化に取り組んでいかなければならない。」

以上が、働く人の視点に立った働き方改革の意義とされています。また、検討テーマとしては、以下が挙げられています。

A)同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善
B)賃金引上げと労働生産性向上
C)罰則付き時間外労働の上限規制の導入など長時間労働の是正
D)柔軟な働き方がしやすい環境整備
E)女性・若者の人材育成など活躍しやすい環境整備
F)病気の治療と仕事の両立
G)子育て・介護等と仕事の両立、障害者の就労
H)雇用吸収力、付加価値の高い産業への転職・再就職支援
I)誰にでもチャンスのある教育環境の整備
J)高齢者の就業促進
K)外国人材の受入れ
L)10年先の未来を見据えたロードマップ

次回記事では、この中身について考察します。

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