海外旅行や海外出張に行くとき、そして、海外の人とテレビ会議などで打ち合わせする場合には、時差を考慮する必要があります。また、最近のカレンダーアプリやスマホは世界のタイムゾーンに対応しているため、時刻に関して色々な表記があります。例えば、GMTやUTCなどの表記を見たことはないでしょうか。今回は、このような世界の時刻についての基礎知識を記載します。なお、世界の時刻の定義は、厳密にいうと、標準時と協定時、日本標準時と中央標準時など細かく言うと異なるのですが、私たちが実際に使用する際にはどれを使っても現実的には影響がありませんので、以降の解説もややこしさを避けるために、実用上同じものは同じ意味として扱います。
世界各国では、それぞれが標準時を決めています。日本では、東経135度(京丹後市や明石市を通る)の時を標準時としています。日本標準時は「Japan Standard Time、略語:JST」と呼ばれています。例えば、海外の人とテレビ会議を行う場合に、「会議開始11:00JST」とあれば、日本時間の11時スタートになります。
世界の標準時といえば、イギリスのグリニッジ天文台がある経度0度の時を言い、「グリニッジ標準時=Greenwitch Mean Time、略語:GMT」と呼ばれています。日本は東経135度なので、地球の自転方向ではイギリスより時刻が先に進みます。その時刻は、24時間×135度÷360度=9時間になります。これを世界的に表記すると、「JST=GMT+09:00」となります。
なお、GMTはグリニッジ天文台のある経度0度で太陽が南に来た時の時刻ですが、地球の自転には実は「ふらつき」があり、そのままGMTを使っていると場合によっては困る場合が出てきました。そこで、原子の振動数を使った超高精度な時計の時刻を基にした国際原子時を用い、太陽の運行を見て微調整した「協定世界時=Coordinated Universal Time、略語:UTC」が日常的に使われています。ですので、我々が覚えておくべきことは、世界標準時はGMTやUTCとよばれており、各国の時差はここを基準として、GMT+9.00、UTC+9などと表記されるということです。
ちなみに、例えば、その他の国では、
フランス :CET 中央ヨーロッパ時間 UTC+1
台湾 :TST 台湾標準時 UTC+8
シンガポール :SGT シンガポール標準時 UTC+8
ニューヨーク州:EST 東部標準時 UTC-5
などになります。ヨーロッパやアメリカでは地域によって標準時が異なります。
以上が世界の時刻の関係ですが、更に各国によっては、サマータイム(夏時間)を採用しているところがあります。日の出時刻が早まる時期(3月~11月頃)に、時計の針を1時間進め、太陽の出ている時間帯を有効に利用するために欧米を中心に導入されています。日本では使われていないため特に切り替え時期には注意する必要があります。なお、海外では「サマータイム=Summer Time」あるいは「デイライト セービング=Daylight Saving Time、略語:DST」などと呼ばれ方が複数あるので、注意してください。
それでは、海外出張や海外旅行、そしてグローバルテレビ会議などでうまくタイムマネジメントできるようお祈りしております。