部下が、会社を辞めたい、と言ってきた。責任者をしていると、これは必ず起こることです。
辞める部下が担当していた仕事をどうしよう、自分は部門責任者として至らないところがあったのだろうか、自分の上司にどのように説明しよう、どうしたら引き留められるのだろう、などなど。きっと、あなたは色々と考えると思います。今回は、部下が会社を辞めたいと言ってきた時にどうしたら良いかについて、複数回に分けて記事を書きます。
まず、辞めたい理由を明確にする必要があります。ただし、会社を辞めるということは一大事ですから、辞めたい部下は色々なことを考えています。ですから、理由を聞くと、沢山のことを答える可能性が高いです。今の仕事が向いていない、今の仕事では力が発揮できない、新しい仕事では自分の可能性を試すことができる、家族も賛成している、新しい職場は実家に近くて転勤が無いので将来も安心だ、などなど。
ところが、会社というのは不満を並べだすとキリが無いものです。上記のような理由も、それ単独であれば会社を辞める理由にはならないことが多いです。ということは、本当に辞めたい理由が1つか2つあって、後の残りは付随して辞めたい気持ちに加点をつけるために言っています。論理的で気持ちの整理がついている人は、辞める理由を聞かれると1つか2つをきっちりと答えるものですが、そうでない人は、実は自分自身の気持ちもうまく整理できていない場合があります。そこで、辞めたい部下と会話しながら、本当の辞めたい理由を一緒に見つけることが必要になってきます。
ですが、辞めたい部下としては、特に次の転職先が決まっている場合は、いまの会社に対してゴチャゴチャと言われたくないし、さっさと辞めたいし、辞めたい理由を聞かれたり会話をすることを嫌がります。こうなると、会話をしていても適当にしか答えてくれないし、毎回言うことが変わって堂々巡りします。これを回避するにはどうしたら良いでしょうか?
部下というのは、仕事をしている時は上司の言うことを聞がねばなりませんが、雇用主と従業員という契約関係においては同等です。つまり、会社を辞める辞めないとなれば、その理由を言うも言わないも部下の勝手です。ですから、会社を辞める理由を聞くのには、それなりの理由を説明して理解してもらって協力してもらわなければなりません。
私の経験上、主に次の2つが会社を辞める理由を聞かせてもらうのに有効な場合が多いです。まず、一つは、「あなたが辞めたいということは、会社に落ち度があるのであれば責任者として改善したい。これまで一緒に同じ会社で働いていたのだから、協力して欲しい」ということ。もう一つは、「会社を辞めるということは、成功もあるが失敗も多い。一緒に仕事をしてきた身として、できれば一緒に親身になって、あなたにとって何がベストかを一緒に考えさせて欲しい」ということです。
つまりは、これまで一緒に居た会社なんだから良くするために協力して欲しい、そして、今後のあなたの将来に何が良いかを一緒に考えさせてくれ、という2つは、辞めたい部下にとっては過去の総決算とこれからの人生をより良くするという大事な2テーマなわけです。これに答えてくれないようでは、その部下とは今後も一緒に仕事をする価値が無いし、聞いても参考な考えは出ないと思って、さっさと諦めて、出ていってもらいましょう。