AI(人工知能)から逃げない

前の記事で、AIは、質問を受けた場合に既に複数用意されていた回答からどれかを選択して回答するもの、明確な判断基準をあらかじめ持っていてそれに基づいて可不可を判断して次の処理に移るものなどは、可能であることを述べました。そうなると、我々のような一般会社員は一体、どのような対応をしていけば良いのでしょうか?

まず、AIはまだまだ普及しておりません。これからの段階です。そうなると各社では、AIをこれから導入することになります。ところが、AIはそのエンジンを入れたらかといって、すぐに動き出すわけではありません。最初に述べたように、質問の回答を用意するとか、判断基準を教えるとか、そういったことが必要になるわけです。ですから、最初にAIを会社で導入するということになれば、その業務に携わっていくというのが大切だと思います

えてして、AIに近づくと、自分の仕事がAIに奪われてしまうのではないかと不安になるかもしれません。これはある意味当たっています。というのも、私が思うに一般の会社員の仕事の多くが、AIに奪われるべきものなのです。ということは、遅かれ早かれ、どうせAIに仕事が奪われてしまうのです。

だとすれば、いっそのことAIを教育する側にまわってはいかがでしょう。AIが必要な質問の回答や判断基準を作成し、それをどのように使うのかをAIに学習させるのです。

これは、簡単なようで意外に難しい作業ですです。まず、業務において質問の回答を用意するということは、想定される質問を準備し、それに対する正確な回答を用意する必要があります。質問自体は過去のデータやヒアリングで得ることが出来ますが、正確な回答はなかなかそうもいきません。特にそれが他社や世間一般に公開されるものならば、正確性に加えて、法的に問題がないこと、文化や慣習を否定しないものであること、それによって誰かが被害を受けないこと、などを担保せねばなりません。今まで口頭で曖昧に応えていたことが許されなくなります。

また、判断基準を作成するということですが、日本語の質問というのは主語がないことが多いなど、曖昧なものが多いです。更に、質問によっては回答が複数あるものもあります。従って、判断基準を正確に示さないと、AIは誤った判断をしていくことになります。

このように、AIを導入していくという作業は、効率的な手法が確立されない限りは当面は難しいと考えています。また、質問の回答や判断基準そのものが今後の会社の価値を決めていく可能性もあります。従いまして、AIから逃げずに向かっていくことが、逆にAIを使いこなし、次の時代を生きていくことになるのではと考えます。