AI(人工知能)がやっていく仕事は?

前の記事で、AIが今のところ得意な事は、
①画像や音や文章を認識・識別できる
②認識・識別したものを分析・調査できる
③次にとるべき最適行動を推論したり制御できる
であると説明しました。では、もう少し具体的に、AIがどのような仕事をやっていくのかを考察してみましょう。

AIが得意なこと①~③の実現の方法を調べてみると、その特徴は、主に入手した情報に基づいて処理していることが分かります。例えば、画像の認識であれば、Aさんの写真とBさんの写真を複数与えることにより、その特徴を見つけます。それが、犬の写真と猫の写真であれば、膨大な写真をネットから抽出・調査・分析して、色々な種類の犬と猫を見分けようとします。そして、もし新種の生物が出現したら、これまでの結果から、それが、犬なのか猫なのかを推論すると思います。

これらのことから、一般の事務でどのような仕事がAIでも出来るかを考えてみます。例えば、お客様相談コールセンター。AIは音声と文章を認識できるので、お客様のお困り事を理解することができます。そして、お客様応対マニュアルを見に行って、そこで答えを見つけることができれば、それを読み上げて答えることができます。これは実際に一部が実用化されていると聞いています。

次に、経理の出張費用精算担当。社員から、出張日時、出張場所、電車経路と費用、タクシーの領収書などの申請を受けて、支払う業務です。AIは、出張日時から時間外手当や休日出勤手当が付くのかを判断、出張場所から遠距離手当がつくのかと出張経路が妥当かを判断、電車経路と費用とタクシー料金の妥当性を出張場所などから判断、そして申請が正しいかどうかの結論を出して出張費用を振り込むか申請の却下を連絡するかを判断して実行します。

以上のように、質問を受けた場合に既に複数用意されていた回答からどれかを選択して回答するもの、明確な判断基準をあらかじめ持っていてそれに基づいて可不可を判断して次の処理に移るものなどは、AIが行うことができます。会社員の事務作業を見てみると、これらの種類の作業というのは意外に多いと思います。また、AIが判断できない特殊な処理を行う事務があったとしても、そういう特殊処理というのは一部のみであり、それ以外の大部分はAIに任せることができる業務が多いと思います。

現時点ではAIはあまり普及しておらず、そのエンジンを使うのも高価であり、またAIに学習させる手法も確立されていないようなので、急にAIが仕事をやり始めるということは考えにくいです。でも、5年先なのか10年先なのかは分かりませんが、確実に我々の身近なものになると思います。