あなたが新入社員、若手社員だと、普段仕事の指示を受けるのは係長や課長でしょう。ですが、指示を受けるといっても、作業の一つ一つの指示を受けるわけではありません。よって、あなたが仕事で判断に迷ったときは、係長や課長はこれまでどうやってきたか、係長や課長ならどのように判断するのか、などを考えて仕事にあたると思います。これは、会社員、組織の一員として当然のことですし、特に日本の会社は「忖度」して仕事をするという文化は未だにありますので、係長や課長の意思を想いながら仕事をすることは重要です。これによって、組織が一つの方向に向いて成果が上がりやすいと思います。
最近の会社員は優秀なので、多くの新入社員や若手社員はそのような仕事ができます。ただ、その上の部長やそれ以上の責任者・経営者が何を考えているかを把握して、それに沿う仕事をしている会社員はなかなか少ないように思います。これは、よく考えるとそれは仕方ないというか難しいことなんですよね。まず、部長やそれ以上と会話する事なんてほとんど無い訳ですから、彼らの考えを得る機会がそうそうあるわけではありません。また、日々の仕事の指示は係長や課長からされているのでそれと違ったことをやろうというのもなかなか難しいです。更に、部長やそれ以上の責任者・経営者は実務からは遠い存在ですから、彼らの考えやそれに基づく方針というのは少し現実離れしてしまうことが多く、新入社員や若手社員の仕事に適用するには無理があったりルールやしくみを変えないと実現しないことも多くあります。
ところで、部長やそれ以上の責任者・経営者は、現実の仕事の管理をすることも必要ですが、なんといっても重要なのは現在の環境・実態を把握して次に会社組織が何に向かっていくべきかを考えて方針を出し、それを実現していくことにあります。ですから、方針のほとんどは環境変化に応じて現場の仕事を変えようとするものです。これが先に述べた、部長やそれ以上の責任者・経営者の言うことは、新入社員や若手社員にとっては少し現実離れしているように思うのです。
もちろん、課長や係長は、部長達の言うことは理解しているのですが、一方で現場の仕事をきっちりとやりきるミッションがありますから、部長達の言うことを全て聞いていては破綻する場合もあります。つまり、課長以下の実務を回しきる部隊と、部長以上の方針を出して改革をしていくメンバーが、うまく綱引きをしながら会社組織をまわしていく、という構図になっているのです。もし、どちらかが極端に強くて綱がそちらに引き切られているのであれば、その組織はうまく行きません。
ということで、新入社員、若手社員の方は、現状の実務を回しきる側に居るし会話もそのメンバーがほとんどになりがちになってしまいます。まぁ、それでも仕事は成立するのですが、綱引きの相手側の考えを理解していれば、組織内の綱引きの状況がわかり、今後どのように組織が進んでいきそうなのか、自分の今の仕事は誰が賛成派で誰が反対派かがわかるので、組織内で仕事を進めやすくなります。ひとつ上のレベルで仕事の調整ができます。いちど、上司の上司の上司は何を考えているかを把握してみませんか?